働きマン、カンチャンを箱詰めしたあの日。

水曜日は「働きマン」の飛騨!あ、なんだこれ、日だ!

菅野美穂さん・・・カンチャンがまだデビューして間もない、17~18才ぐらいのときに
ニッポン放送でレギュラーのラジオ番組をやった。
というか、某所でたまたま見てしまった素顔の彼女の頭の回転の早さに舌を巻き、
「この人でラジオをやったらさぞかし面白かろう」と、当時のニッポン放送のPに
「こういう面白い子がいるんですけど・・・番組できないですかねぇ・・」と
やんわり働きかけてみたら、案外すんなり番組ができてしまったのだ。
未だに、あれぐらいすんなり企画が通ってしまったことはない。
いや、すんなりかどうかは知る由もないのだが、そのPがもんのすごく優秀な方で、
「すんなり感」をかもし出したまま、さくっと番組を実現させてくれたのだ。
今、プロペラ犬でPっぽいことをやってわかるのだが、この「すんなり感」は
なかなか出せない。
いろんな人からいろんなことを頼まれたりするたびに、楠野さん的には
「すんなり感」を出して調整してるのだが、たぶん傍目にはバタバタ感いっぱいで、
「大丈夫かなこの人、年齢の割りに醸し出す貫禄が中学生レベルなんだけど」
と思われているに違いない。

そんな感じで実現したカンチャンの番組は、自分が過去に作ってきたいろんな
ラジオ番組の中でも一、二を争う「やりたい放題、治外法権番組」だった。
一言で言えば、カンチャンを最高のおもちゃにして毎週、よくわかんないこと
ばっかやってた。
例えば、ある週のタイトル(レギュラーコーナーはなく、毎週、別の企画をやってた)は
【箱詰めカンノ】。
放送の間、カンチャンはなぜか段ボール箱の中に詰められていて、その中に
マイクを仕込んでしゃべるのだ。
段ボールには、ポストのような切れ込みを入れて、そこからハガキをぽいっと入れると、
カンチャンが「うわっ!ハガキが入ってきましたぁ!でも暗くて読めません!」とか
しゃべる。
んで、意味なく段ボールの中に変なものをぽんぽん投げ込んだり、ぼんぼん叩いたり
してカンチャンが「うわっ!うわー!」とか言ってるだけの1週間なのだ。
んで、最後の最後にカンチャンが「私は、出ます!!!」と叫んで、
段ボールをばこっ!と蹴破って外に飛び出す。
すると、「ロッキーのテーマ」が高らかに流れてきて、なんだか感動する・・・って番組だった。

今書いててもなんだか全然わかんないが、とにかく死ぬほど笑ったのは覚えている。
もちろん、こちらの「意味ないことを、なんだかよくわかんないままに必死にやることで
なんだかおかしくなる」という(一応)演出の意図を、カンチャンが汲んでくれ、
マネージャーさんも面白がってくれたから、やれたことだ。ありがたかった。

他にも
「プリン人生相談」
「カキ氷機でそうめんを削ったらどうなるか」
等等、タイトルを書いただけでは意味不明な、ていうか実際聞いてても意味不明だった
であろう企画ばかりをやっていた。

今にして思うと、プロペラ犬で水野にやってもらおうとしていることの原点かもしれない。
いやもちろん、ラジオと演劇の違いはありますけども。
でも、カンチャンが詰められた段ボールがぽつんとラジオのブースの中にあって、
そこにマイクが向けられてるシュールな絵柄と、今回、水野美紀にやってもらおうと
していることは、根っこの部分でほとんど一緒かもしれない。箱には詰めませんが。

作家として、本当にありがたいのは「なんで?」と聞かれないこと。
今回の「マイルドにしぬ」の脚本を初めて見せたとき、水野美紀は一言も
「なんで?」とか「ここの、これの意味は?」と聞かなかった。

稽古が進んでいけば、自ずと「なんで?」に踏み込まざるを得ないし、
その「なんで?」が作品を固める接着剤にもなるのだが、
一番最初の走り出しの部分で「なんで?」がなかったことは、
プロペラ犬を始めるにあたってのすごく大事な共通認識だった、と思う。

42・195キロをこれから走ろう、というときに「なんで?」って思ったらもう走れない、
そんな感覚かなぁ・・・って、そりゃ違うか。すいません、例え下手で。

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