続きの始まり

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「マイルドにしぬ」終演直後の風景。
置き去りにされた犬がなかなかにいい風情を醸し出しております。

さて。
千秋楽から2週間ちょいたちまして、2007年もあと数時間。
何はともあれ、水野美紀+楠野一郎が2006年春から
立ち上げて走り出したプロペラ犬、旗揚げ公演は成功と
言っていい評判をいただきました。ほんと、ありがたいことです。

つらつらと書き連ねていけばいつまでも書いていられるのですが、
一旦「マイルドにしぬ」総括に関してはこのへんで。きりのいいところですし。
まあ、このブログもプロペラ犬もずっと続きますんで、また何か思い出したら
その都度なんか書きますが。

我らが「プロペラ犬」は毎回、主演女優(水野美紀)と脚本(楠野一郎)を
除いては基本、そのときどきで「この人と物を創ってみたい!」という方々を
お招きして作るプロデュースユニット。
毎年毎年、この大変さが待っているのかと思うと身が引き締まる思い・・・
というか、楠野さん的にはすでに来年のことを思うとまったく正月気分に浸れません。
水野と楠野さんの間では、とっくの昔から来年の公演のあれこれに関して
話が始まっております。

演出・入江雅人さん、客演・河原雅彦さんを核にした今回の公演はこちらの
予想以上に愛されました。来年もメロ様が見たい、との声もたくさん頂きました。
しかし、これは水野もこないだのイベントで断言してましたが、来年の公演には
「メロ様」も「湖の女神」も登場しません。もちろん小池も、はさみ女も。
今回の公演の思い出を共有した3000人の方々の中でそれぞれのその後のストーリーを
好き勝手に想像していただくのが、正しい彼らの味わい方ではないかなと。
家に帰るまでが遠足。想像が続いてる間は観劇。そう思います。

まずはこのブログを借りて、改めて
今回の旗揚げ公演に足を運んでいただいたお客様、
演出・入江雅人さんと客演・河原さんをはじめとする今回のスタッフの皆様に
最大級の感謝を。
ありがとうございます。

今回の「マイルドにしぬ」はスルーしたけど、なんだかこのブログは見ているという
方もいらっしゃることでしょう。
来年もやります。11月に。楽しんでいただけるものを創ります。
今年はゾンビ。来年はあの方をお招きしてアレをやりたいと今ぼんやり思っています。

想像が始まったら、そこからが観劇。
水野美紀ともども、劇場でお待ちしています。

よいお年を。

「プロペラ犬」

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「マイルドにしぬ」よりラストのネタ、「プロペラ犬」。

このネタのみ、本番でタイトルを出さなかったのは単純にタイトルにネタバレの
要素が含まれているからで。
だったらタイトルを変えれば?というところですが、これに関してはこのタイトルしか
考えられない、ある意味この演劇ユニット「プロペラ犬」の立ち上げ宣言にも
近い話なので、この、まんまのタイトルになりました。

このネタに関しては、河原雅彦さんに尽きると思います。
いや、うちの旗揚げ公演なんだから水野美紀はどうなの、って話なのですが、
見た人なら納得していただけるでしょう、河原さんが素晴らしかった。

今回ねぇ、河原さんに本当に感謝してることはいろいろありますが、
何よりもまず、
ある意味「損な役回り」を舞台上で一手に引き受けてくださったことで。
旗揚げ公演として、水野美紀をいかにはじけさせるか、暴れさせるか、
ストレンジな人々になりきってもらうか・・・そこを突き詰めた結果、
相手役の河原さんにほとんど全てで「ツッコミ役」というか
「ヤバイ人の相手」
をつとめていただくことになり。
まあ、いわゆる「普通の人」です。普通の人の目線がないと、ストレンジな人々との
距離感が掴みにくくなってしまうので、なかなか笑えなくなる。

かといって、「普通の人」と「つまんない人」とは違う。
ここは重要です。
笑いの世界において、普通の人が「つまんない人」だと、ストレンジな人が
ただ単に「理解不能な人」以上にならない。
普通の人の中に、ストレンジな人を愛でる目線というか、ストレンジな人と
「遊ぶことができる余裕」みたいなものがないと、笑いにつながりにくい。
旗揚げ公演でこれができる人を二人で考えた結果の「河原さんしかないでしょ」でした。
実際に公演を終えてみて、そのチョイスは間違いではなかった、と。
本当に本当に感謝するばかりです、河原さんには。

河原さんというと、今までの舞台では基本、
「ストレンジな人」の側を演じることが多く。
その面白さを存分に知った上で、でも今回はあえて「普通の人」を演じてもらい。
なんだかねえ、そうすると、河原さんと水野の舞台上での関係が
「ヨーダとルーク・スカイウォーカー」みたいに見える瞬間があって。師匠と弟子。
師匠(ヨーダ)のほうは、いつでも抜ける刀(ライトセーバー)を懐に携えたまま、
あえてひょうひょうとした爺さんを装い、血気にはやるルークをたしなめつつ、
その力を引き出していく。
まあ実年齢はそんなに離れてない二人なので、河原さんをヨーダよばわりも
どうかと思いますが。

来年の第二回公演では、師たる河原さんも入江さんもいない、
また少し新しいプロペラ犬として皆様の前に現れるわけです。
旗揚げ公演とは違う、でも核になっている二人(水野、楠野)は第一回公演のあれこれを
糧にして、成長していないといけない。
というか、二人が成長できていれば、二回目の新しい座組の中でも、
また違った面白さを出せるはずで。
「マッドマックス」であっと言わせた後、
「マッドマックス2」で世界中の男子を狂喜させた
監督・ジョージ・ミラーと主演のメル・ギブソンのコンビのようにあれば、と。そう思います。

わかりづらいですな。わかる人はわかりますか。
見てない人は見てください。お正月にでも。
必ず1→2の順で。ぜひとも。

「はさみ女」

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「マイルドにしぬ」から、オープニングの「はさみ女」。の稽古。
正確に言うと、稽古休憩(向かって左手の引き戸を開けるとそこが稽古場)
のときに、水野美紀と河原雅彦さんが自主的に引き戸を使って稽古してたときの様子。

この稽古場、見てもらえるとなんとなくおわかりかと思いますが、ごく普通の住宅街の中に
普通に「稽古場です」って感じでありまして。
あれですね、稽古場というよりは町の空手道場とかの佇まいに近い。

そんな稽古場なので、近隣にお住まいの方にご迷惑をかけないように、というのが
第一の注意点。稽古場の中はともかく、稽古場の外で騒いだりしたら
いけませんよ、ということで。
稽古場の前には稽古場持ち主からの「一言もしゃべるな」という、
注意と言うよりは恫喝に近い張り紙が貼られており、なかなかにドキドキさせられます。

それにしても、ここの前を通りがかった人はどう思ったんだろうか?
なんだか引き戸に挟まってる女がいるなぁ、と思ったら、それが水野美紀で、
「うー、SEX!SEX!」と叫んでる。
三つ、順序良くびっくりしないとわけがわかんなくなっちゃうだろうなぁ。
白昼夢だと思われたかもしれない。
てか、このネタ見てない人には、この文章自体が謎だらけか。挟まってSEXSEXって。
なんだそれ。

一部で物議をかもしたこの「うー、SEX!」。
演出の入江さんが見本をやってみせてくれるのですが、これがスーパー面白い。
「うーSEX!」って言ってるだけなのに。前後ないのに。
水野もそれにならって「SEX!」
入江さんが見本の「SEX!」
水野が「SEX!」
入江さんが「SEX!」
水野が「SEX!」
入江さん「SEX!」
稀に見るくだらないオウム返し。平和だ。

ちなみに、私、楠野さんが好きなとこはド頭、河原さんが水野に最初の一言を
かけるまでのたっぷりとった「間」。
ボケ突っ込みの関係は、役者と演出家に似てると思うのですが、
あの「間」で、河原さんは舞台の上で、生の水野美紀を演出している感じがして。
「お、今日はひっぱってるなぁ」とか毎日微妙に違い、それがまたその日のテンションを
決めたりもして、毎回の楽しみでした。

「writing man, working girl」

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「マイルドにしぬ」から「writing man, working girl」の1カット。
スタッフの間では通称「書く男」。作家(脚本家)の話ですからね。
なんで水野が日本刀構えてるのか、って言われるとなんともいいようがありませんが。

稽古のときに軽く感動したのが、この日本刀の殺陣。
「例えば」って感じで水野が軽くスパッスパッてやってみるんですが、
それがすでにカッコいい!てか誰も何も指導してないのにできてる!
稽古場的には「まあ水野美紀だし、できるよな」って空気でしたが、
普通の女優さんであれば、そこで一から殺陣のイロハを稽古しなければいけないわけで。
そこをとっぱらって稽古が進められる、ってのはよく考えたらすごいことで。
「殺陣は普通に出来ますけど、で、どうしましょ?」みたいな水野美紀の空気も
なかなかにかっこいい。

殺陣はその後、入江さんの演出(入江さんもできるのです)を経て完成。
てか、入江さんも普通に殺陣ができる!これもすごい。
だって、わかんないですけど、世の演出家のうち、簡単にでも日本刀の殺陣が
作れる人ってどんぐらい?
三分の一は絶対いないでしょ。十人に一人ぐらい?もっと少ないか。

もちろん、殺陣をつける専門家が別に存在しているのだから、
演出家が殺陣をつけられなくても全く困らないのですが、
出演者二人、演出家一人のうち2人が殺陣を作れるってすごい確率だ。
さくさく殺陣を作っておりました。

むしろ時間をかけてたのが、その後、水野が河原さんを
フロントチョーク→スリーパー→マウント→腕ひしぎ十字固め→ヒールホールド
と決めまくる一連の流れ。
水野は基本、あんまり格闘技を知らないので
(アクションと実戦の格闘技は全く別物。水野はアクションのプロで、格闘技は素人)
格闘技好きの入江さん、河原さん、そして私楠野さんが寄ってたかって
「こうしたほうがスムーズに技に入れる」
「こう腰を浮かせたほうが決まっているように見える」などと指導。
このときだけは水野が言われるがままになっておりました。

ちなみに、やられる側の河原さんはこの一連の流れで一度、体力のピークを迎えるそうな。
確かになぁ、河原さん、脱ぐと白くてふにょふにょで、きしめんみたいな体だし。
赤坂公演6日間で10公演という強行軍、きつかったことでしょう。改めてお疲れ様でした。
でも毎晩飲むんだもの。休めばいいのに。
でも、河原さんが一日だけさすがに「酒抜き」したのに、水野はその日も飲みに行ってたし。
てか今書いてて気付いたんだけど、
大阪は当然毎晩飲んでたし、川崎も2公演とも終演後に飲んでたし、
もしかして水野さん、パーフェクトゲーム達成?

「ぽこ」

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出ましたよー。
今回の「マイルドにしぬ」で一番の問題作、「ぽこ」の1カット。

いやー、「ぽこ」に関して言うと、あんまり後から説明してもしょうがないかなとも
思うのですが、てか、内容に関しては「あれが全てです」としか言いようがないの
ですが。ご覧になった方々、それぞれの心の中に「ぽこ」は存在する、という
ことでよろしいんじゃないかと。

あとやっぱ「輪島のものまね」ですかね。水野がやった。
これも実は最初から脚本にあったわけではなく、ある台詞を入江さんが
「ちょっと輪島のモノマネでやってみて」
と演出したらなんだかえらい面白かったのがきっかけで。
今にして思えばですが、その台詞書いてるときに心のどこかで輪島のマネっぽく
書いてたような気もして。
その台詞は最終的に削られたのですが、輪島のマネは残った、と。

しかも最後のほうでは
「これがあったほうがマネに入りやすい」と、水野からの提案で
舞台の袖からジャージを投げてもらい、それを着る・・・という
「輪島のマネを生かすためのみの演出」も付け加えられ。
水野がこのかっこでジャージを羽織った日には、この人本当にどうなりたいんだろうと
皆が気にかけるのもやむなし、というビジュアルで。
まあ、気にかけられるまでもなく、こうなりたかったのですが。

今にして思えば、これを最初に書いたときになんとなく思ってたのは
「宮崎アニメの主人公みたいな精悍かつ正義感あふれる美少女」
みたいな人が大真面目にこれを語ってたら面白いなぁ、というイメージで。
ナウシカ、あるいはもののけ姫ですよ。
ご覧になった方は、そう思ってもう一度、「ぽこ」を頭の中で反芻してみたらもう一度
別の楽しみ方ができるかも。
もののけ姫が輪島のモノマネで「アシタカ!」ですよ。なんだそれ。

坂井真紀、かっけー

坂井真紀ちゃんが出ている「わが闇」(ナイロン100℃)を見に行った。

もうとりあえず、「素晴らしい!」とだけしか書けない。
各所での評判を耳にしたうえで行ったので、かなり自分の中でいろんなものが
膨れ上がっていたのだけど、それでもなお感嘆の声を上げてしまう箇所がいろ
いろあった。
休憩含め3時間半近くあるのだけどまず飽きないし。面白いし。
繊細だけど、ぼーっと見てても面白い、っていうのは本当にすごいと思う。

今回、客演で出ている坂井真紀ちゃんも本当によかった。
水野が友達なので、その縁で数年前に知り合ったのだけど、
水野とはまた違った「熱さ」がある、とてもかっこいい女優さんだ。
ただ熱いだけでは暑苦しい。そうではない。
熱を運動に変換するエネルギー変換システムのスキルをきちんと備えているから、
映画でも舞台でも見るたびに違う坂井真紀を見せてくれる。
今回の真紀ちゃんはとびきりカッコいいです。って書いたら今「ちびきり」って
書いちった。ちびきりって。真面目に褒めてんのに。頑張れ俺。

東京ではあと数公園、そのあと年明けに地方公演があるようなので
多くは語りませんが、とにかく必見です。

湖の女神

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もし「マイルドにしぬ」を見てない人に
「一枚だけ、今回の舞台を象徴する写真を見せて!」
と言われたら、たぶんこれを見せると思う。そんな一枚。
「湖の女神」のワンショットです。

見てくださった方にとっては納得、見てない方には皆目どういう状況だかわからない、
というか「水野美紀は180人を前に一体何をしてるのか?」という
ざわざわした気持ちになること請け合いの一枚かと。
まあでも、今回撮った何百枚(千枚以上?)のあらゆる写真の中でも
水野美紀的には一番いい顔してるかと。

「湖の女神」は、実は最後の最後に急遽付け足されたネタ(てか、話)で。
当初、あの井戸を使った全く違う物語があったのですが、稽古を重ねて
内容が変質していくうちにどうも全体の流れからそぐわない感じになり、
かといってばっさりその物語を切るだけでは全体の尺が短すぎる恐れがあり。

そこで、あの井戸を使って、全く違う物語を急遽書きまして。
だって井戸作っちゃったんだもん。勿体無いんだもん。
で、えらい勢いで稽古を重ねて作り上げたのが、
あの「湖の女神」というわけです。

これが案外、というかことのほか受けました。
びっくりでした。いやほんとに。
アンケートや各所の感想でも「メロ様派」と「女神派」に二分されたぐらいで。
すごい二分ですよ、かたやゾンビ、かたや花柄スパッツ股全開の人だもの。

しかし、今回、水野美紀は一生でも一番「可愛い」という言葉を言われたのでは
と思えるぐらい、「女神」で可愛い可愛い言われてました。言われすぎてました。
間違いなく、30代突入以降では一番言われたのでは。
思いもしない副産物でした。
ちなみに、川崎公演を見てくださった古田新太さんは「ごつくて可愛い」と
仰ってたとか。
うーん、「ごつ可愛い」。なるほど。
確かに、ヴァンダレイ・シウバにもよくわからん可愛さを感じる瞬間があるし。
何はともあれ、水野美紀が今まで隠していた引き出しが派手にオープンされたのは
確実なようです。

かぶる、いろんなものを

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なんだかプロペラ犬でメリークリスマスっぽい画像はなかろうかと思い、
こんな秘蔵画像を一枚アップ。

これ、稽古場初期に撮った一枚で。
ヘアメイク(というかヅラ担当)の武井さんが持って来てくれたヅラの中にこれがあり、
こりゃもうかぶって撮るでしょ、ってことで撮ってみた、と。

確かねぇ、これ、「くさりもの」のメロさんのヅラ候補の一つだったんだよなぁ。
この時点で演出の入江さんからは漠然と「昔の女優っぽい、ゴージャスなヅラ」
という指示があっただけで、武井さんにいろいろ候補を持って来てもらって、
「さてどれにしようか」みたいな段階。
メロさん、この頭だったらどうなってただろ。アフロゾンビ。

ちなみに、この「とりあえず持ってきたヅラ」の中から、本当はズラを使わないはずだった
河原さんが「ちょっとこれかぶらせて」って言ってあの「小池」や「湖の女神」に翻弄される
男のヅラを決めた、という経緯もあり。

「かぶる」で思い出した。
今日水野がアップしたブログ。
映画の現場写真で、ひとつ、首が落ちた肩から上(の作り物)を頭の上に
つけてる人の写真
があり。
たぶん、この上にすっぽり服を着るんだろうと思うのですが、楠野さん、この写真見て
「おおっ!頭にフカヒレが刺さってる!」
と。
「すげえな、フカヒレを武器にして闘う、高級食材バトルアクションか!見てぇ!」
と。思ってしまい。
水野が鎖の先にフカヒレがついたやつををぶんぶん振り回すのかと。
で、相手があわびでガシャーン、って受けて、キャビアで目潰しとかしてくるのかと。
んなわけはないわけで。そんなすっとんきょうな映画ではなさそうです。

水野のブログのコメントを見てみたら、
「帽子かぶってますね」
って普通に返してるコメントもいくつか。
帽子としてはかなり怖い。血が出てるよ、帽子から。

マンションマンション、そして猫Zさん

富岡晃一郎さんが出てるマンションマンションの「人間フィルハーモニー」を
見に行った。面白い!これぞ小劇場の醍醐味、と思う。
26日まで下北沢の駅前劇場でやってます。お奨めです。
もし席に座って上手側だったら「ラッキー!」と思ってください。

マンションマンションというと、去年の3月にやった「キング・オブ・心中」という作品を
思い出す。
ちょうどその頃、楠野さんは水野に「マイルドにしぬ」の第一稿になる脚本を見せてまして。
そこらへんの話、各所のインタビューで水野が語ってますが、実ははしょられている箇所が。

水野は楠野さんの脚本を読み、すぐに「これを実現させよう!」と奔走したような流れに
なってますが、実は水野は最初からやみくもに走り出したわけではなくて。
一刻も早く実現させたくて気持ちが走っている楠野さんを諭すように、
「小劇場での演劇って大変だよ、オリジナリティーあって面白い劇団がたくさんあるんだよ」
と水野に言われて、「例えば、これ見に行ってみて」
といわれたのが、ちょうどその頃やってたマンションマンションの公演だったのだ。
(数日前に水野が見に行ったらしい)
キャパ100人強のオフオフで見たマンションマンションは、それはもう面白くて。
映像の世界とは全く違う、もちろん自分がかかわってきたカンコンキンとも違う、
それはもう「演劇だから、こうできる。オフオフだからこうできる」としか言いようのない、
面白いものだった。

楠野さんはそれを見て、今一度気を引き締め、「自分らにできるかな?」と考えを整理した上で、
「やっぱやってみたい」
と、水野に再度働きかけたのだ。

「やる!」と決めたら水野美紀の前のめり加減はハンパない。
おそるべき飲み屋外交の早さで、水野は脚本を河原さんに見せ、制作協力してくれそうな
人を探し・・・
で、今に至る、と。
そういう意味では、マンションマンションは(ご本人たちのあずかり知らぬところで)
プロペラ犬に多大な影響を与えてくれた。

ちなみに、富岡さんは、水野とは「桜飛沫」での共演以来の仲良し。
こないだ、猫背椿さんがゲストに来てくれたひみつ集会にも見に来てくれたりもして。
猫背さんも水野とは「桜飛沫」以来の仲。

そんな猫背さんと某イベントで会い、スタッフさん含めて飲んだ。
というか、そのイベントの打ち上げに、なぜか楠野さんいていい流れになって、
隅っこで飲みました。
猫背さんはアネゴ肌なのに気配りがすごいという、飲んでて楽しくないわけがないという人。

途中、来年公開されるハリウッド版「ドラゴンボール」の話に。
亀仙人の役をまさかのチョウ・ユンファがやるという話を猫背さんにしたところ、
「チョウ・ユンファって誰だっけ?」と猫背さん。
「ほら、あのジョン・ウーの映画で・・・」と楠野さんが説明するも、
「うーん、思い出せない・・・日本人で例えると、キャラ的に誰?」と猫背さん。
楠野さん、
「館ひろし」
って言っちゃったんですけどね。
いや、顔は全然似てない、って前提で。
「日本人で言ったら、誰が亀仙人やるってのと同じような衝撃か」って意味で。

それにしても、ハリウッド、大丈夫かなぁ。
何かを見失ってるんじゃないかなぁ。
ピッコロって、どうすんだろ。

三点倒立

出たばかりの「トップステージ」を見たら、
「マイルドにしぬ」のレポートが1ページ、写真とともに載っていた。
「テイクフライト」や「座頭市」のような大スケールの作品と並んで
1ページももらって載ってて、なんだか申し訳ないような。

5?6枚ほどの写真と共にレポートが載っているのだけど、
なぜか「メロ様」と「湖の女神」という、今回(ごく一部で)人気を二分した
キャラの写真はなく。なんだろう?演劇とは認めがたかったのだろうか?
その割には「ぽこ」の奇天烈どピンク衣装の水野は載ってるけど。

「マイルドにしぬ」でお客様から頂いたアンケートや、ネットでの評でよく
見た感想の中に
「水野美紀がふっきった演技を・・・云々」
というのがあった。
そういえば「あそこまでさせる演出がすごい」みたいな意見もあったかな。

水野、好きでやってただけなんですけどね。
例えば、「女神」の後半で、奇天烈なスパッツを履いた水野が、
土下座しながら三点倒立して、スパッツ全開で大股カパッと広げる芝居があって。
あれなんて、脚本に一行も書いてないどころか、演出の入江さんからの指示でもない。
河原さんからの提案でもない。
水野美紀が、好きで始めたんです。

稽古場でいきなりあれを始めたときは、確かに笑えるんですが、
楠野さんとしては「やんないほうがいいんじゃないか?」派で。
いや、稽古場で1回、三点倒立で首が「ぐにっ」ってなったことがあって。
曲がっちゃいけない方向に曲がって。
思わず「うああああっ」ってなったんですが、本人は平気な顔で「大丈夫大丈夫」。
それ見てやんわり「やんなくていいんじゃない?」って言ったのですが、
本人「大丈夫大丈夫」。
最後までやり通しました。

いやぁ、舞台の上で首が「ぐにっ」ってなったら、実際に怪我したかしないかじゃなくて、
その後全部笑えなくなっちゃうんですよね。てか、あそこで三点倒立しなきゃいけない
意味は特に無いし。
それが一番心配だったんですが、本人、稽古場で練習するうちに三点倒立が
どんどん上達。
後半の公演をご覧になった方なら目撃したとおり、ただ三点倒立するだけじゃもの足りなく
なって、股をカパッと広げてました。なぜだか「おー」と言われて拍手までされて。

楠野さん、うかつでした。
「やんないほうがいいんじゃない?」とか言うと、やつは意地でも「やる!」と言う
性格の奴なんです。水野美紀というのは。
他のあれもこれも、本人、「ふっきってやる」なんて重いものじゃなくて、
「やりたいからやる」だけなんですよ。そういう人なんですよ。

・・・とはいうものの、本人があまり「やりたくてやってる」空気が前面に出すぎちゃうと、
見てる側は逆にひいちゃうわけで。
そこらへん、河原さんの手綱のコントロールが見事でした。
河原さんの受け方のうまさで、いい具合に「水野の前のめり感」が笑いに
昇華されてました。
それを肌で感じたからこそ、水野もさらに前のめりにボケられた。
・・・ってこれ、完全にお笑いの分析だな。ま、いいか。