2007.12.21
三点倒立
[ 「マイルドにしぬ」 ]
出たばかりの「トップステージ」を見たら、
「マイルドにしぬ」のレポートが1ページ、写真とともに載っていた。
「テイクフライト」や「座頭市」のような大スケールの作品と並んで
1ページももらって載ってて、なんだか申し訳ないような。
5~6枚ほどの写真と共にレポートが載っているのだけど、
なぜか「メロ様」と「湖の女神」という、今回(ごく一部で)人気を二分した
キャラの写真はなく。なんだろう?演劇とは認めがたかったのだろうか?
その割には「ぽこ」の奇天烈どピンク衣装の水野は載ってるけど。
「マイルドにしぬ」でお客様から頂いたアンケートや、ネットでの評でよく
見た感想の中に
「水野美紀がふっきった演技を・・・云々」
というのがあった。
そういえば「あそこまでさせる演出がすごい」みたいな意見もあったかな。
水野、好きでやってただけなんですけどね。
例えば、「女神」の後半で、奇天烈なスパッツを履いた水野が、
土下座しながら三点倒立して、スパッツ全開で大股カパッと広げる芝居があって。
あれなんて、脚本に一行も書いてないどころか、演出の入江さんからの指示でもない。
河原さんからの提案でもない。
水野美紀が、好きで始めたんです。
稽古場でいきなりあれを始めたときは、確かに笑えるんですが、
楠野さんとしては「やんないほうがいいんじゃないか?」派で。
いや、稽古場で1回、三点倒立で首が「ぐにっ」ってなったことがあって。
曲がっちゃいけない方向に曲がって。
思わず「うああああっ」ってなったんですが、本人は平気な顔で「大丈夫大丈夫」。
それ見てやんわり「やんなくていいんじゃない?」って言ったのですが、
本人「大丈夫大丈夫」。
最後までやり通しました。
いやぁ、舞台の上で首が「ぐにっ」ってなったら、実際に怪我したかしないかじゃなくて、
その後全部笑えなくなっちゃうんですよね。てか、あそこで三点倒立しなきゃいけない
意味は特に無いし。
それが一番心配だったんですが、本人、稽古場で練習するうちに三点倒立が
どんどん上達。
後半の公演をご覧になった方なら目撃したとおり、ただ三点倒立するだけじゃもの足りなく
なって、股をカパッと広げてました。なぜだか「おー」と言われて拍手までされて。
楠野さん、うかつでした。
「やんないほうがいいんじゃない?」とか言うと、やつは意地でも「やる!」と言う
性格の奴なんです。水野美紀というのは。
他のあれもこれも、本人、「ふっきってやる」なんて重いものじゃなくて、
「やりたいからやる」だけなんですよ。そういう人なんですよ。
・・・とはいうものの、本人があまり「やりたくてやってる」空気が前面に出すぎちゃうと、
見てる側は逆にひいちゃうわけで。
そこらへん、河原さんの手綱のコントロールが見事でした。
河原さんの受け方のうまさで、いい具合に「水野の前のめり感」が笑いに
昇華されてました。
それを肌で感じたからこそ、水野もさらに前のめりにボケられた。
・・・ってこれ、完全にお笑いの分析だな。ま、いいか。