2008.03.21
「あの空をおぼえてる」
[ 映画 ]
映画「あの空をおぼえてる」を試写で見せていただいた。
水野美紀出演の、ファンタジー要素を含んだ家族愛映画だ。
水野の役は、竹野内豊さん演じる小さな写真館経営者の奥さんであり、
子供二人のよき母である。
ご覧になる方のために多くは触れないが、その家族を襲うある悲劇的な出来事、
そこから家族は再び立ち上がり、前を向いて生きる勇気を持つことができるのか・・
という物語。
満員の試写会場では(マスコミ向けの試写です)終盤のキモとなるあるシーンで
あちこちから啜り泣きが聞こえてきた。
決して派手な映画ではないが、すごく誠実に、丁寧に富樫森監督が撮られてるのが
印象的。富樫監督は映画「ごめん」もそうだったのだけど、
子供の演出がとてもうまいと思う。
で、うちの水野さんはどーかというと、
これがまあちゃんと「ふんわりして、でも芯は強く、明るいママ」に見えるのだ。
まあそれが仕事なのだから当たり前といえば当たり前だが、
実はこの作品の撮影は「マイルドにしぬ」の稽古期間の直前で、てゆーか
一部かぶっている時期もある。
いただいた資料によれば、映画の撮影は昨年の10月~11月初旬。
うちの稽古は11月頭からで、一部10月にもやってた。
このブログをぐーっと前に戻ってもらうとわかるが、その時期、
水野はロケ地である岐阜とこっちを行ったり来たりしてたのだ。
ちなみに、これは稽古と打ち合わせを終え、最終の新感線に乗るべく稽古場を急いで
出る水野のショット。前にも一度乗せましたが。
つまり、うちの稽古場で入江さん相手に「うー、SEX!SEX!」と何度も何度も
SEXの面白い言い方を猛特訓しているそのかたわら、
岐阜で可愛い子供やら犬やら竹野内豊さんやらに囲まれて
ファンシーな衣装を身にまとった柔らかなママを演じていた。
すげーな女優って、と今更ながらに思う。
それだけではない。
10月というと、制作作業的にもほんとに大変だった時期で、
東京にいる楠野さんと、岐阜の水野は毎日何度も制作関係の打ち合わせを
電話でしていた。
撮影の合間を縫って打ち合わせの電話やメールをしてきて、
「あ、ごめん、撮影始まるから・・・」みたいな感じで電話を切る、みたいなこともたびたび。
制作関係の打ち合わせは、楠野さんも水野もいっぱいいっぱいだったので、
ときに険悪になり、怒鳴りあいになったこともある。
楠野さんはいくら怒鳴ってもその後「くそーっ!」とか言いながら手足バタバタすれば
済む話だが、水野はその直後にふんわりお母さんを演じなければならない。
さすがにより集中力を必要とするシーンの前にはなかったと思うが、
「楠野の野郎!死んでしまえ!」と思いながら撮影に入ったらさぞかし子供たちが
怖がったことだろう。
画面の水野からはそんな、「うーSEX!」の邪気も、
「楠野死んでしまえ!」の殺気も、みじんも感じさせない。
おだやかな母親の空気そのものだ。当たり前だが。
そーいえば子供役の二人は、「マイルドにしぬ」を見に来たのかな。
たぶん見に来てはいないと思うのだが、見たら相当な
ショックは受けたのではないだろうか。
「ママ!ママ!つらすぎてそんななっちゃったの!?」って泣くかもしんない。
二人にはぜひ、1年後ぐらいに見ていただきたい。
で、「マイルドにしぬ」を舞台で、あるいはシアターテレビジョンでご覧になった方は
ぜひ「あの空をおぼえてる」も2回見ることをお奨めします。
一回目は、何の邪念もなく、ピュアな物語に没頭して。
で、2回目は、
「この頃、水野さんはこれやりながらその裏であんなことになってたんだな~」
と思いながら。
ある種、全く別の感動を味わえるのではないかと思います。