ゼア・ウィル・ビー・ブラッド

「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」がすごい。すごすぎ。

何がすごいって、約2時間40分あるんだけど、全く眠くも尻痛くも
「この後何食べようかな~」にもならない。
なんでかって、とんでもない&面白い緊張感がずーっと続いてるのだ。
電車の中で、行動が生物として面白すぎる人と同じ車両に乗り合わせてしまった緊張感
に通じる種類のそれだ。恐怖と、かみ殺した笑いの絶妙なブレンド。
笑いたいんだけど、笑ったらやばい、てか笑って目でもあった日には・・・
怖い。

「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」のダニエル・デイ・ルイスはまさにそれだ。
ああいう類の体験を、お金を払って、安全な形で楽しめる体験型アトラクション。
そう思うと、とても楽しめる映画じゃないかと思う。

にしても、ポール・トーマス・アンダーソン監督(略してPTA)もすごいわ。
「マグノリア」も「ブギーナイツ」も大好きなのだけど、この人の作る映画は毎回、
平熱が異常に高いのだ。今回はとりわけ高い。2時間40分、ずっと大型犬を
抱きしめてるようだ。熱い上に怖い。
画面の中で起きているのは背筋が凍るようなことで、
それをあくまで「神の視点」でフラットに切り取っているのに、与える印象は異常に熱い。
そういう意味ではキューブリック作品に近いかも。
終わり方なんてまさにキューブリックっぽい。

あ、この終わり方は、いい舞台の暗転の感覚にも近い。ポツドールの作品とか。

さらに言ってしまえば、すごくよくできた、2時間40分の長さの落語の終わり方だ。
最後のダニエル・デイ・ルイスの一言なんて、あれ、落語の「下げ」ですよ。

とか書いてたら、地震!
地震も怖いよ。
世の中、いろいろ怖い。