2011.04.20
「エンジェル・ウォーズ」と「孫文の義士団」
[ 映画 ]
はい楠野です。
ツイッターのほうに散々書いてますが、
ここ数日で2本続けて「こりゃちゃんと書き残しておきたいな」
という映画を観まして。
一つは「孫文の義士団」。
これについて書き出すと長くなるので、また日を改めますが、
これ今んとこ今年ベスト候補。
後半一時間、雪崩のように繰り出されるエモいドラマ+アクションの
つるべ打ちはホント、
そーゆーのが好きな人(俺含む)が観たら
延々泣いていられるほどの濃さ。
ドニー・イェンが主演っぽく表記されてますが、
あくまで香港オールスターキャストによる群像劇で、
これむしろ今までドニーを
「アクションは凄いけどイマイチ華がないよな」と避けてた人に
観てほしい。
ってだいぶ長く書いちゃったけども。
もう一本、というのは
「エンジェル・ウォーズ」。
こちらは「ドーン・オブ・ザ・デッド」「300」「ウォッチメン」の
ザック・スナイダー監督の最新作。
今までと大きく違うのは、リメイクだったり有名コミックの原作物ではなく、
彼のオリジナル原作&共同脚本による作品であること。
つまり、彼が初めて
「クリエイティブの自由」をほぼ完全に
(彼はプロデュースもしてますし)
手中に収めて作られた作品である、ということ。
これがまた、指折りの怪作だった!!!
「怪作」といっても、
「普通の人が観て困惑する作品」ならたくさんある。
「普通じゃない映画ファンが観て困惑する作品」ってのもある。
これがなんだか凄いのは、
その両方が観て困惑するであろう作品になっていること。
予告編や雑誌等で伝わってきた前情報やビジュアルから想像された物語
(いわゆる「普通じゃない映画ファン」にとっては待ち望んだ作品なのだ)
とはちょっと違うのだ、いろんなとこが。
かといって「観てガッカリ」というわけではない。
いろいろ面白いのだ。
これを作るザック・スナイダーという人の脳内が。
未見の人のために内容は伏せるが、
劇中のキーパーソンである「ある男」。
彼の言動や登場の仕方(エンドロールまでお見逃しなく)
が謎だらけなのだが、この男を
ザック・スナイダー監督(脚本)自身のペルソナの投影、として観てみると
とっても世界観がわかりやすい。
つーか「バカだなぁこいつぅ、このこのぉ」とザックにヘッドロックして
ぐりぐりしてやりたくなるのだ。
どんな脚本でも...それがエンタメ作品であれ、コントであれ、
短編であれ、脚本を書くということは
「作家の自己探求の道筋を地図にして残すようなもの」と思っている。
というか、そうならざるをえないのだ。
その過程で、作家が作品内に自己のペルソナを投影させた
登場人物を作ることは多い。
一人ではなく二人や三人に分かれていることもあるが、
多くの場合は一人だ。
主役とは限らない、いやむしろ主役じゃないことのほうが多い。
主役に堂々と(作家自身の)思いを語らせるなんてことはなくて、
脇役にこっそり語らせるものだ。
もちろん私もその一人。
どれがどうとは書かないが、必ず作品内のどれかのキャラクターに
腹話術のように「自分の思い」を語らせている。オリジナルの場合は。
(さらに言えば、原作物でもそれは可能。
というかそれが見つけられないと原作物の脚本化はきつい)
「エンジェルウォーズ」の場合は、
二回観て「あ、こいつ」と気づいた。
書いた本人がどこまで自覚的かはわからないが。
とにかく全編が「ザックスナイダー脳内劇場」の映像化なので、
ダメな人は観てて10分で帰りたくなると思う。
「こーゆー映画」が好きな人ですらも途中から不安になる。
そんな怪作なのだけど、
これもひとつの映画なのだ。
とはいうものの決して小難しい映画ではなく、
いやむしろ映画全編を通じて
「バカな中二の妄想」
にしか思えない無茶苦茶さなので、
気楽に観てほしいな、とも思う。
で、観てあっけにとられた後に全員がザックの母親のような気持ちで
「この子、こんなこと考えてたのね...大丈夫かしら...」
と心配になってしまう、そんな映画なのだ。
鑑賞後の味わいは真逆と言ってもいいぐらい違う二作品だけど、
いずれもおススメです。